◤遺言業務◢

<遺言を残すことをお勧めするケース>

【相続人について】

✅独身である ✅子供がいない 

✅相続人がいない ✅再婚や認知

✅孫が相続人になる ✅家族間不和

✅財産を与えたくない相続人がいる 

✅行方不明者や海外在住者がいる



【遺産分割等について】

✅既に贈与した財産を考慮して検討していきたい

✅介護などに力を尽くした相続人へ多く配分したい

✅相続人が同居したり無料で借りている物件がある

✅相続人に特定の財産を与えたい又は与えたくない

✅手厚い保護が必要な相続人に財産を多く与えたい

✅同族会社や個人事業主の後継者に財産を与えたい

✅相続権のない孫や嫁、第三者に遺産を与えたい

✅お世話になった寺や教会などに財産を寄付したい

<遺言の種類と比較>

(普通方式)

自筆証書遺言

全文、日付、氏名を自書して押印します。但し、添付する財産目録については自書する必要はありません。

公正証書遺言

公証人と証人2名以上が立会い、公証役場で作成されます。入院中等の場合、病院等での作成も可能です。

秘密証書遺言


公証人と証人2名以上が立会い、公証役場で作成されます。実務上、利用される頻度は少ないと言えます。

(特別方式)

一般隔絶地遺言

伝染病等により隔離されている人のための遺言です。

一般危急時遺言

死亡時、筆記出来ない状況下で行われる遺言です。

船舶隔絶地遺言


船上に長期間居る人のための遺言です。

難船危急時遺言


船が遭難し、死亡の危機に迫られた乗客が残す遺言。

<遺言関係の基本的な用語>

そもそも遺言とは?

人の最終の意思表示について、その人の死後に効力を生じさせる制度のことです。遺言は法定相続に優先します。遺言の方式を問わず、書面にすることが必要となります。遺言がない場合は、相続人の間で財産を分ける話し合いをし、財産の分割を決めていくことになります。

遺言の効力は?

遺言は、遺言者の一方的な意思表示によって効力が生じる制度なので、書いたこと全てに法的な効力が与えられる訳ではなく、効力が与えられる内容が限定されています。 例えば、「兄弟は仲良く暮らすこと」等を付言として記載することもできますが、法的効力はありません。 

遺言は何歳から作成できる?

年齢が満15歳以上であれば、遺言書を残すことができます。

遺言信託とは?

信託銀行が遺言執行者となり、遺言書の作成・保管、相続財産目録の作成などを行うサービスのことです。信託銀行が一貫して手続を行うため、トラブルを防ぐうえで安心感があります。一方、遺言書の保管手数料や遺言執行に対する手数料が少なからず発生します。

【参考】某信託銀行の手数料体系(遺言書保管だけではなく執行も行うプラン)

  • 申込時の基本手数料・・・330,000円
  • 遺言書保管中の遺言保管料・・・年間6,600円
  • 遺言書変更時・・・55,000円
  • 遺言執行時・・・財産額に応じて計算。最低執行報酬1,100,000円
  • 不動産登記に関する登録免許税や司法書士手数料実費
  • 戸籍謄本、固定資産税評価証明書等取り寄せ費用実費
  • 預貯金等残高証明書等発行手数料実費
  • 鑑定評価手数料実費
  • 不動産売却手数料 実費

遺言能力とは?

遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識できるレベルの意思能力のことであり、遺言書を作成するときに備わっている必要があります。

遺言の効力はいつ発生する?

遺言は、遺言者の死亡のときから効力を生じます。そのため、遺言者が遺言書に記した不動産等を生前に処分してしまっても、法的な問題は生じません。

遺言書の内容を訂正するには?

訂正の方法は厳格に定められています。そのため、訂正が多い場合は、書き直してしまった方が良いとも言えます。 

遺言書の内容を取り消すには?

自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書を破ったり焼却することで取消が可能です。一方、公正証書遺言の場合、遺言取消の手続をするか、新しい遺言書を作成して古い遺言書を取り消す旨を記載する作業が必要となります。なお、複数の遺言書が存在する場合は、日付の新しい遺言書が有効とされます。

共同遺言の禁止とは?

2人以上の者(例えば夫婦)が、同じ証書に遺言をすることは禁止されています。

負担付遺言とは?

受遺者に、例えば「全財産を残す代わりに妻の扶養をすること」を義務付ける等、一定の義務を課した遺言のことです。

予備的遺言とは?

遺言書に記した内容が、想定外のことが起きても支障なく実行できるようにするための遺言のことです。例えば、相続人が遺言者より先に亡くなった場合、誰が代わりに相続するのかを予め記載した遺言書等が該当します。

認知とは?

父が、嫡出でない子を自己の子であると承認することによって、父と子との間に法律上の父子関係を生じさせる制度です。認知の効果は出生の時に遡ります。

  • 任意認知→父が自らの意思表示で自分の子として認める。
  • 強制認知→子の側から裁判所へ認知の訴えをし、その裁判の確定によって父子関係が成立する。 

遺言認知とは?

遺言で認知をすることです。遺言認知は、例えば生存中は事情により認知できなかったけれども、父の死亡後に非嫡出子に相続権を与える場合に行われます。遺言認知の効力は、遺言者である父の死亡のときに生じます。

検認とは?

相続人に対し、遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続のことです。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。検認を受けると「検認調書」が作成されます。申し立てから検認まで、1か月程度を要します。

公正証書とは?

公証人が私人の嘱託により法律行為その他私権に関する事実について作成した文書のことです。 

公証役場とは?

公証人が執務する役場で、全国に約300か所あります。
例 「○○公証役場」「○○公証人役場」「公証人合同役場」「公証センター」

公証人とは?

公証人は、実務経験を有する主に法曹有資格者の中から法務大臣が任命する公務員で、公証役場で執務しています。

証人とは?

公正証書遺言や秘密証書遺言で必要となり、推定相続人や受遺者、未成年者等ではない人が務めます。証人に対しても手数料を支払うことが必要です。

遺言検索システムとは?

日本公証人連合会が昭和64年1月1日(東京都内の公証役場で作成されたものに限り昭和56年1月1日)以降に全国の公証役場で作成された公正証書遺言の、公正証書遺言を作成した公証役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等をコンピューターで管理しているシステムのことです。

死因贈与とは?

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与のことです。贈与者と受遺者の契約である点で、単独行為である遺贈とは異なります。贈与者の死後に効力が生じる点では遺贈と共通点があるため、遺贈の規定に準じることになっていますが、あくまで契約なので、一方的な撤回が困難な場合もあります。

遺言執行者とは?

遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する者のことです。遺言で、遺言執行者を指定することができます。

遺言書保管所とは?

法務大臣の指定する 、遺言書の保管に関する事務を行う法務局のことです。遺言書の保管の申請は、遺言者の住所所もしくは本籍地または遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所の遺言書保管官に対して行います。遺言書保管所に保管されている遺言書については、検認が不要となります。

◤相続業務◢

<亡くなってから必要となる手続は?> 

✅死亡から7日以内に、死亡者の本籍地、死亡地または届出人の住所地の市区町村役場の戸籍係に死亡届を提出します。その際、印鑑と死亡診断書(死体検案書)が必要となります。葬儀費用の領収書を保管しておきましょう。

✅遺言書があれば、家庭裁判所に遺言書の検認の手続を申し立てます。遺言書がない場合は、相続人の間で財産を分ける話し合いをし、財産の分割を決めていきます。

✅相続人の確認をします。財産と負債の状況を確認して、相続するか否かを決めます。相続放棄や限定承認等を家庭裁判所に申し立てる期限は、【相続の開始を知ったときから3ヵ月以内】です。

✅相続人は【相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内】に、連名で、被相続人のその年の1月1日から相続発生日までの所得について、所得税の申告(準確定申告)をする必要があります。なお、被相続人が前年分の申告をしないまま亡くなった場合にも、相続人は【相続開始日から4ヵ月以内】に、被相続人の前年の所得について申告をする必要があります。

✅遺産の評価や鑑定、遺産分割協議書の作成、遺産の名義変更手続、相続税申告書の作成を順次行っていきます。
✅【10ヵ月以内】に相続税の申告・納付(延納・物納の申請)をする必要があります。
✅【3年以内】に保険会社等に、生命保険金の請求を行います。

<戸籍の種類> 

戸籍(全部/個人)事項証明
戸籍(謄本/抄本)

現在の戸籍内容を証明したもののことです。

☞「全部事項証明」は戸籍に記載されている者全員の証明で、「個人事項証明」は一部の者の証明です。

☞「戸籍(全部/個人)事項証明」はコンピュータ化された戸籍で、「戸籍(謄本/抄本)」 はコンピュータされていない戸籍です。 

除籍(全部/個人)事項証明
除籍(謄本/抄本)

戸籍に記載されている者全員が、転籍・婚姻・死亡等したことで戸籍が空になったことを証明するもののことです。

☞「全部事項証明」は戸籍に記載されている者全員の証明で、「個人事項証明」は一部の者の証明です。
☞「除籍(全部/個人)事項証明」 はコンピュータ化後に除籍となったもので、「除籍(謄本/抄本)」 はコンピュータ化前に除籍となったものです。

改正原戸籍(謄本/抄本)

戸籍の様式変更やコンピュータ化のために改製する前の、元の戸籍の記載内容の証明です。
☞「改正原戸籍謄本」は改正原戸籍に記載されている者全員の証明で、改正原戸籍抄本」は一部の者の証明です。

☞法改正による様式変更時、戸籍記載内容が全て転記された訳ではないために、変更前の改正原戸籍を確認する必要が生じます。

<相続関係の基本的な用語>

そもそも相続とは?

 私有財産制のもとで、被相続人の財産を誰かに帰属させるための制度のことです。

法定相続分とは?

被相続人は、遺言によって相続分を定めることができますが、この指定がないときに、法定相続分の規定が適用されることになります。もっとも、法定相続分は一応の割合に過ぎず、生前贈与や遺贈、特別な寄与を考慮しながら具体的な相続分が算出され、これを基礎に遺産分割がなされ、最終的に各相続人が取得する相続財産が確定します。 


◆配偶者と子供⇒配偶者と子供が1/2ずつ相続します。子供が複数いれば、1/2を子供の数に応じて均等に分けます。

◆配偶者と直系尊属⇒配偶者が2/3、直系尊属が1/3を相続します。直系尊属が複数いれば、1/3を直系尊属の数に応じて均等に分けます。

◆配偶者と被相続人の兄弟姉妹⇒配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を相続します。兄弟姉妹が複数いれば、1/4を兄弟姉妹の数に応じて均等に分けます。

◆配偶者のみ、血族相続人のみが相続する場合⇒配偶者しかいない場合は配偶者が全てを相続します。配偶者が故人の場合は、①子供、②直系尊属、③兄弟姉妹の順に相続します。同順位の相続人が複数いれば均等に分けます。


*代襲相続人がいる場合は、本来相続人になるべきだった人の相続分をそのまま受け継ぎます。
*半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の1/2となります。
*認知を受けた被嫡出子の法定相続分は、嫡出子と同等となります。

行方不明者がいる場合は?

失踪宣告を申し立てるか、不在者財産管理人を家庭裁判所に選任してもらうか、あるいは家庭裁判所に遺産分割の審判を申し立てます。

相続人の中に未成年者がいる場合は?

その親権者が法定代理人となって遺産分割協議に加わり、遺産分割協議書の署名・捺印を行います。但し、その親権者と未成年者がともに相続人である場合は利益相反行為にあたるため、代理人を務めることができません。その場合親権者は、未成年者のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求する必要があります。

相続人がいないときは?

相続人を探し出す間、家庭裁判所により相続財産管理人が選任され、相続財産を管理することになります。被相続人の債務の支払いなどを清算した後で、まだ財産が残っていた場合、家庭裁判所が特別縁故者に対して財産の一部を与えることができます。それでも残った財産は、国庫に帰属します。

特別縁故者とは?

被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者をいいます。自然人には限らず、介護施設や市町村等も該当します。特別縁故者は、相続人捜査の公告期間の満了後3か月以内に、財産の分与を請求しなければなりません。

 戸籍の附票とは?

住所の移転を記録した書類で、本籍地で戸籍とともに管理されています。附票には、本籍・筆頭者のほか、その戸籍にいる者の住所の異動が記録されています。

「遺贈」と「相続」の違いは?

◆遺贈・・・遺言による贈与です。被相続人が自由に誰かを指定して財産を受け継がせることができます。遺贈は、遺言によって行われる必要があります。

◆相続 ・・・被相続人の死亡によって生じる被相続人の権利・義務の承継で、被相続人の死によって自動的に始まります。 民法が決めた人(法定相続人)に被相続人の財産を受け継がせることになります。


*遺贈にせよ相続にせよ相続税が課されることになりますが、相続人でない人が受遺者になった場合には相続税が2割加算されます。 

「遺贈」と「死因贈与」の違いは?

◆遺贈・・・被相続人の単独行為(相手方の同意が不要)です。

◆死因贈与・・・贈与者が死亡した時点で効力が生じる贈与契約です。当事者双方の合意が必要です。

 

*死因贈与は遺贈に準じたものとして扱われることになりますが、準用されない条文もあるため、以下のような相違点があります。

  • 死因贈与の贈与者は20歳以上でなければならない。 
  • 死因贈与は書面・口頭いずれでも可能。また書面の場合の封印なども不要。
  • 死因贈与契約書の検認は不要 。

相続はいつ開始する?

相続は人の死亡によって開始します。人が死亡すれば、その瞬間に相続人について相続が開始し、遺産は相続人による共有が始まることとなります。

負担付贈与とは?

第三者等に対して債務を履行することを条件として財産を贈与する契約です。

相続欠格とは?

相続人の不正行為に対する制裁として、相続権を当然に喪失させる制度です。欠格事由に該当する者は、被相続人の意思に関係なく、法律上当然に相続権を失います。また、相続欠格者は受遺能力も失うことになります。

推定相続人の廃除とは?

被相続人の意思によって、遺留分を有する推定相続人の相続権を喪失させる制度です。家庭裁判所によって認められると、被廃除者は、当該被相続人との関係で相続権を失います。
(要件)

  • 廃除される者が、遺留分を有する推定相続人であること。
  • 廃除原因があること。例えば、被相続人に対する虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行。
  • 被相続人が家庭裁判所に廃除の請求をすること。
  • 廃除の審判又は調停があること。

代襲相続とは?

被相続人の死亡以前に、相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が死亡等を理由に相続権を失ったとき、その者の直系卑属がその者に代わって、その者の受けるべき相続分を相続することです。

*相続人となるはずだった人が相続欠格に該当または廃除されても、代襲相続します。対して、相続放棄の場合は代襲相続しません。
*代襲者についても代襲原因が発生すれば、その子が代襲者となります(=再代襲相続)。但し兄弟姉妹については1回のみ代襲相続が認められます。

養子縁組とは?

養親となるべき者と養子となるべき者との合意に基づく養子縁組届が受理されることによって成立します。養子は縁組成立の日から、養親の嫡出子としての身分を取得します。但し実親との親子関係も残るため、養親との二重の親子関係が成立することになります。

  • 相続権⇒養親子相互、実親子相互にあり、扶養の権利義務は具体的事情に応じて発生します。
  • 親権⇒養子は養親の親権に服します。
  • 氏⇒養子は養親の氏を称します。

失踪宣告とは?

生死不明の者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。不在者につきその生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)、または戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)は、家庭裁判所は申立てにより、失踪宣告をすることができます。失踪宣告がされると、不在者の生死が不明になってから7年間が満了したとき(危難失踪の場合は危難が去ったとき)に死亡したものとみなされ、不在者(失踪者)についての相続が開始されます。

遺産とは?

人が死亡時に所有していた財産のことです。 相続財産のうち、遺産分割の対象となる経済的価値を有する財産を指します。

相続財産とは?

被相続人が相続開始のときに有していた権利義務の総体のことです。

一身専属権とは?

個人の人格・才能や地位と切り離すことができない関係にあるため、相続人等の他人による権利行使・義務の履行を認めるのが不適当な権利義務のことです。そのため、被相続人の一身に専属したものは相続人に承継されません。

祭祀財産とは?

系譜(家系図等)、祭具(位牌、仏壇仏具、神棚、十字架等)、墓地などの祖先祭祀のための財産のことです。祭祀財産は相続と別のルールで祭祀主宰者(遺言で指定可)が承継します。

単純相続とは?

相続人が、一身専属的な権利を除いて、被相続人の一切の権利義務を無限に承継することです。単純相続した相続人は、被相続人に借金があれば自分の財産から弁済する必要が生じます。

相続放棄とは?

相続人が自らの意思で相続しないことを選択することです。相続放棄をする相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。期間については、期間内に家庭裁判所へ申し出て伸長してもらうこともできます。相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人にならなかったものとみなされます。

*必要な費用と書類
(費用)申述人1人につき収入印紙800円・連絡用の郵便切手

(書類)相続放棄の申述書1通・申述人の戸籍謄本1通・被相続人の除籍(戸籍)謄本、住民票の除票各1通

限定承認とは?

相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済して、残余があれば、相続するという制度です。限定承認をする相続人は、自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内に、共同相続人全員で家庭裁判所に申述する必要があります。期間内に家庭裁判所へ申し出て期間を伸長してもらうこともできます。家庭裁判所への申立方法が煩雑であるのと、相続人全員で申立を行うことが条件のため、実務上はほとんど利用されていません。

相続放棄・相続分放棄・遺留分放棄の違い

◆相続放棄

プラスの財産もマイナスの財産も含めて全ての財産を相続しないという意思表示をすることです。相続放棄により、最初から相続人ではなかったことになります。

◆相続分放棄 

相続人とはなるが、相続人としての地位を放棄することで、遺産分割の方法の一つです。相続人としての地位を放棄すると、その分は他の相続人の相続分が増えることになります。一方、相続分を放棄しても、債権者との関係では支払を請求されうる状態は残ります。また、相続分放棄は手続が法定されていないので、その意思表示を各相続人に対して通知する必要があります。

◆遺留分放棄 

  遺留分を放棄しても相続人としての地位は残るため、例えば遺言書で一定の遺産の分割を指定された場合、そのような遺産を受け取る権利は残ります。 被相続人の生前に遺留分放棄をする場合は、裁判所に遺留分放棄の許可を申立てた上で、裁判所の許可を取る必要がああります「。

寄与分とは?

①被相続人の事業に関する労務の提供、②被相続人の事業に関する財産上の給付、③被相続人の療養看護などの方法により被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献があった相続人には、法定相続分に上乗せして財産を取得できます。貢献があった者を寄与者、上乗せさせる財産を寄与分といいます。寄与者の貢献度についてはそれを決める明確な基準がなく、共同相続人が話し合って決めることになり、不調の場合は、寄与者が家庭裁判所に調停を申し立てることにより、裁判所が定めることになります。
(計算方法)
①遺産相続から寄与分を控除する⇒②寄与分控除後遺産を法定相続分で分ける⇒③寄与者の相続分に寄与分を加算する

特別寄与料とは?

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供をしたことにより特別の寄与をした被相続人の親族(「特別寄与者」 息子の嫁等、6親等内の血族、その配偶者、3親等内の姻族)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与料の支払いを請求することができます。当事者間に協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます。ただし、特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6か月を経過したとき、または相続開始の時から1年を経過したときは請求出来ません。

遺留分とは?

自分の財産を死後どのように処分するかは自由だが、一方で、遺族にとってはその財産が生活を支えることとなります。そこで、一定の財産については、遺族に残す仕組みがあります。遺留分を侵害する遺言があっても直ちに無効になるわけではありませんが、遺族は遺留分請求権を行使することにより、侵害された自己の遺留分を回復することができます。

  • 遺留分権利者は、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子及びその代襲相続人、直系尊属)です。胎児も含まれます。
  • 直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の財産の1/3。その他の場合は被相続人の財産の1/2。
  • 遺留分侵害額請求は、相続開始(被相続人の死亡の日)から1年以内かつ相続開始から10年以内に行う必要があります。
  • 遺留分は金銭債権化され、支払は現金に限定されます。

特別受益とは?

相続人のなかで遺贈を受けたり、生前の資金援助を受けた者がいるときは、相続開始前10年以内のものに限り、相続の前渡しを受けたものとして相続分から差し引いて計算します。
(計算方法)
①遺産総額に特別受益を加算⇒②加算後の遺産を法定相続分で分ける⇒③特別受益分を、特別受益者の相続分から控除する

*計算の結果、特別受益者が相続分を越えて貰い過ぎていても超過分を返す必要は生じません。ただし遺留分侵害額請求を受ける可能性はあります。
*生前贈与で貰い受けた財産は、相続開始時の貨幣価値で評価し直すこととなります。

遺産分割とは?

遺産の相続人間の共有関係を解消し、個々の遺産を各相続人に配分して、それらを各相続人の単独の所有に還元する制度のことです。遺産分割の話し合いを遺産分割協議といいます。遺産分割協議を成立させるためには相続人全員の合意が求められます。遺産分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生じます。

遺産分割の基準は?

遺産の分割は、遺産に属する者又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行います。「年齢」については年少者等への配慮、「心身の状態」については心身障害者等への配慮、「生活の状況」については今まで生活してきた住居の確保への配慮が念頭に置かれているものと考えられます。

遺産分割自由の原則とは?

遺産分割の当事者全員の合意があれば、法定相続分に合致しない遺産分割や遺言書の内容に反する遺産分割も有効です。

遺産分割協議書とは?

相続人同士で遺産の分割が確定した場合に作成します。作成方法について決まったルールはありませんが、財産の内容と相続人を特定すること、相続人全員が名を連ねること、及び印鑑証明を受けた実印を押すことが必要です。

◆現物分割⇒不動産等の現物をそのまま配分する方法です。分かりやすいですが、配分しようがない場合もあるため、相続分どおりに配分しにくい場合があります。

◆換価分割⇒ 遺産の中の個々の財産を売却して、その代金を配分する方法です。公平な方法ですが、譲渡益に対して所得税が課せられることに注意が必要です。 
◆代償分割⇒ 現物を特定の者が取得して、取得者は他の相続人にその具体的相続分に応じた金銭を支払います。取得者に資力が必要となります。 
◆代物分割⇒ 現物を特定の者が取得して、取得者は他の相続人に金銭以外のものを渡します。譲渡益に対して所得税が課せられます。
◆共有分割⇒ 相続人全員で共有することです。公平である反面、資産の自由度が低下するといえます。 

相続分譲渡証明書とは?

相続分を相続人あるいは第三者に譲渡したことの証明書です。

利益相反行為とは?

お互いの利益が相反する行為のことです。親権者と子の利益が相反する場合と、親権に服する複数の子の間の利益が相反する場合があります。前者は、子のための特別代理人の選任が必要とされ、後者は、利益が相反する子の一方のために特別代理人の選任が必要とされます。

成年後見制度とは?

認知症など精神上の障害のため判断能力が低下し、契約や遺産分割等の法律上の行為をすることができない人から相談を受けて、遺産分割協議の内容に同意したり、遺産分割協議に代理して本人を支援・保護する仕組みのことです。

遺産分割協議がうまくいかないときは?

「調停分割」に臨み、不調のときは「審判分割」に臨むことになります。審判に不服の場合は、高等裁判所に不服申立をすることができます。

*調停の申立は、相手方のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。

<改正相続法関係の基本的な用語>

「配偶者居住権」とは?

被相続人の配偶者が、相続開始の時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、遺産分割、遺贈または死因贈与により、その建物の全部について使用および収益をする権利を取得します。

*権利の評価額は、配偶者が若いと住む年月が長くなると想定される分評価額が高くなり、高齢になるほど低くなると考えるのが一般的です。

居住建物とは?

配偶者居住権の目的となる建物のことです。

「配偶者短期居住権」とは?

配偶者は、相続開始の時に被相続人所有の建物(居住建物)に無償で居住していた場合には、相続開始の時から一定の期間の間、居住建物を無償で使用する権利を有します。なおこの権利は、第三者に主張することができません。

持戻し免除の意思表示の推定とは?

婚姻期間が20年以上である夫婦の一方の配偶者が、他方の配偶者に対し、その居住用建物又はその敷地(居住用不動産)の遺贈または贈与をした場合については、持戻免除の意思表示があったものと推定し、遺産分割においては、原則として当該居住用不動産の持戻し計算を不要とすることとされています。

家庭裁判所の判断を経ず、預貯金の払戻しを認める方策について

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、以下の計算式で求められる額(ただし、同一の金融機関に対する権利行使は、法務省令で定める額(=150万円)を限度とする)については、他の共同相続人の同意がなくても単独で払戻しを請求することができます。
(計算式)
単独で払戻しを請求できる額=(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)

一部分割とは?

共同相続人間の協議により、遺産の一部について分割をすることができます。また、協議が調わないとき、または協議することができないときは、各共同相続人は、他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合を除き、家庭裁判所に対し、遺産の一部について分割をするよう請求することができます。

特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言)とは?

「相続させる旨の遺言」については、遺産分割方法の指定がされたと解すべきものと遺贈と解すべきものの2つに分かれることとなりますが、改正法においては、前者について新たに定義規定を設けることとし、これを「特定財産承継遺言」と呼んでいます。

権利の承継に関する法律について

相続人が特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言)や相続分の指定により財産を取得した場合でも、その法定相続分を越える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えていなければ、その権利の取得を第三者に対抗することができません。

義務の承継に関する法律について

被相続人が相続分の指定をした場合であっても、相続債権者は、各共同相続人に対し、法定相続分に応じてその権利を行使することができます。ただし、相続債権者が共同相続人の一人に対して指定相続分に応じた債務の承継を承認したときは、相続債権者は、それ以降は、指定相続分に応じた権利行使しかすることができません。

遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等について

遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができず、これに違反する相続人の行為は、原則として無効となります。

<主に相続税関係の基本的な用語等>

税金はいつまでに納めるのか?

◆相続税・・・遺産分割協議書が調い次第、被相続人が亡くなってから10か月以内に、相続税申告書を被相続人の住所地の税務署へ提出します(例えば2020/7/14に亡くなった場合、翌日7/15から10か月後の2021/5/14まで。提出期限が土日祝日である場合はその日の翌日)。

◆所得税・・・非相続人が亡くなってから4か月以内に、準確定申告書等を被相続人の住所地の税務署へ提出します。


*遺産分割の期限はありませんが、上記のように納税の期限が定められています。相続税法では、相続税の申告までに遺産分割が決まっていない場合(未分割)、法定相続にしたがって相続人が遺産を取得したものとして税額を計算し、申告するよう定められています。

債務控除とは?

被相続人の債務や葬式費用は、相続財産から控除することが認められています。但し、香典返礼費用等は葬式費用として認められませんので、注意が必要です。

税額控除とは?

以下のような控除を受けることができます。

  • 贈与税額控除
  • 配偶者税額控除⇒被相続人の配偶者が取得した財産の課税価格が法定相続分以下なら、相続税は課税されない。また、配偶者の取得額が法定相続分を超えていても、その額が1億6000万円以下なら相続税は課税されない。
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除⇒相次相続とは、短期間に相次いで相続が起きることをいいます。
  • 外国税額控除

どのようなときに延納や物納ができるのか?

延納の要件

  • 相続税額が10万円を超え、納付期限までに金銭で納付することが困難であること
  • 担保を提供できること(延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は不要)
  • 申告期限までに「延納申請書」を提出すること


物納の要件

  • 延納によっても金銭納付が困難で、物納できる財産があること
  • 申請により税務署長の許可を受けること
  • 金銭による納付が困難である金額の限度内であること
  • 申告期限までに「物納申請書」および「物納関係書類」を提出すること

相続財産はどのように評価されるのか?

◆基本的に相続があった日の時価で評価します。時価とは客観的な交換価値を指し、基本的に、国税庁による「財産評価基本通達」に基づき算出されます。 

◆土地のうち市街地にある宅地は「路線価方式」、それ以外の土地については「倍率方式」で評価します。

*路線価方式 

道路ごとに定められた1㎡あたりの路線価をもとに、宅地の評価額を出す方法です。  ただし、具体的な土地の条件によっては正確な評価額とは言えない場合があります。そこで、その土地の形状や位置によって、基本の価格を加算したり減算したりして算出します(面地調整)。 


*倍率方式

土地の固定資産税評価額に、国税局長が一定の地域ごとに定める倍率を乗じた額によって評価される評価方法です。路線価方式のような減算項目や加算項目はありません。 

相続税の計算

①課税価格の計算
相続(遺贈)財産+みなし相続財産-非課税財産-債務及び葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産+相続時精算課税に係る贈与財産
②相続税額の計算
③各人の相続税額の計算
④各人の納付税額の計算

(計算例)
課税価格の合計額2億円、配偶者が1億2000万円、長男が6000万円、次男が2000万円相続した場合

◆基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」(2億円-4800万円=1億5200万円)を法定相続分に分け、税率をかける。

  • 配偶者 1億5200万円×1/2=7600万円→7600万円×30%-700万円=1580万円
  • 長男 1億5200万円×1/4=3800万円→3800万円×20%-200万円=560万円
  • 次男 1億5200万円×1/4=3800万円→3800万円×20%-200万円=560万円
  • 相続税総額 1580万円+560万円+560万円=2700万円

◆相続税総額を課税価格の割合で按分する。
(算出税額=相続税の総額×按分割合) *按分割合=その人の課税価格/課税価格の合計額

a,按分割合

  • 配偶者 1億2000万円/2億円=0.6
  • 長男 6000万円/2億円=0.3
  • 次男 2000万円/2億円=0.1

b,各人の算出税額

  • 配偶者 2700万円×0.6=1620万円
  • 長男 2700万円×0.3=810万円
  • 次男 2700万円×0.1=270万円

◆相続や遺贈により財産を取得した者が被相続人の配偶者・父母・子以外の者である場合、算出税額に2割加算する。
◆贈与税額控除・配偶者税額控除・未成年者控除・障害者控除・相次相続控除・外国税額控除に該当する場合、控除額を差し引く。

  • 配偶者 課税価格が1億6000万円以下につき課税ゼロ
  • 長男 特に該当しなければ810万円
  • 次男 特に該当しなければ270万円


*配偶者の税額控除、小規模宅地等の減額の特例等を受ける場合、税額がゼロでも申告の必要がある。

相続対策で養子縁組を行う際の注意点

相続税の基礎控除額は、3000万円+法定相続人数であるため、法定相続人が1人増えることで、基礎控除額が600万円増額します。また、相続人が増えると相続人1人あたりの法定相続人が少なくなるため、適用税率が低くなることがあります。更に、生命保険金・退職金の非課税額が、相続人が1人増えるごとに500万円拡大します。そこで、孫や子供の配偶者を養子にすることがあります。ただし、次の点に注意を要します。

  • 税務上、法定相続人に含めることができる養子の数は、「実子がいる場合は1人」「実子がいない場合は2人」までとされている。したがって、例えば、実子がいるにもかかわらず2人の養子を迎えたとしても、1人しか節税面の効果がない。
  • 他の法定相続人に無断で縁組を行った場合、感情面でトラブルになることがある。したがって事前に関係者間で同意を得る等の工夫が必要。
  • 孫を養子にして相続させる場合、相続税の2割相当額が加算される。子を飛び越すことで、相続の機会が1回少なることに対する規定である。

アパートを建てると節税となる仕組み

◆更地の評価が貸家建付地の評価となるため、おおよそ20%程度、評価額が下がる。

(例)自用地の評価額1億円の場合、1億円×(1-借地権割合70%と仮定×借家権固定30%)=7900万円となり、21%減となる。

◆建物の評価額は固定資産税評価額と同じであり、通常は建築費用の60%で評価されるところ、貸家となれば、さらに自用家屋の70%で評価されることになる。

(例)1億円の現金で賃貸住宅を建てた場合、1億円×固定資産税評価60%と仮定×70%=4200万円の評価となる。

◆賃貸住宅を建てた土地は「貸付事業用宅地」となり、200㎡まで50%引きで評価される。但し、相続開始前3年以内から事業を始めた宅地等は対象外となることに注意。


*以上のような節税効果が見込まれますが、建築費の融資を受けた場合は当然に返済リスクが発生しますし、空き室リスク・清掃や修繕等メンテナンス費用発生のリスク・建物老朽化に伴う修繕費用発生のリスクが発生することに注意が必要です。

<主に贈与税関係の基本的な用語等>

そもそも「贈与」とは?

自分の財産を譲る契約のことで、贈与する側が自分の財産を贈る意思表示を行い相手方が承諾することにより成立します。

相続税と贈与税はどちらの負担が重い?

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」であるのに対し、贈与税の基礎控除額は「贈与を受けた人1人につき年間110万円」です。また、1000万円の財産に対する相続税率は10%であるのに対し、贈与税は40%です。したがって、贈与税の負担の方が大きいと言えます。

相続開始年の贈与

相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となります。但し、贈与税の配偶控除による居住用不動産の贈与については、贈与税の対象とすることができます。

贈与税の計算(暦年課税)について

毎年1月1日から12月31日までを一つの課税期間とし、1人の人がその1年間にもらった財産の合計額に課税されます。なお、贈与税には年間110万円の基礎控除額があります。

(計算方法)
①その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計する。
②その合計額から基礎控除額110万円を差し引く。
③残りの金額に税額を乗じて、速算表控除額を差し引く。
 (計算例)
父から500万円、祖父から100万円の贈与があった場合(税率と控除額は速算表による)

  • 課税価額500万円+100万円=600万円
  • 600万円-基礎控除額110万円=490万円
  • 490万円×税率20%-控除額30万円=納税額68万円 


*2人から各110万円ずつ合計220万円の贈与を受けた場合、基礎控除額は110万円となることに注意。

どのようなときに贈与税が課せられるのか?

贈与とみなされる場合(みなし贈与財産・・・本来の贈与財産ではないが、贈与があったものとして課税される)

  • 信託受益権(委託者以外の者が信託の受益者になったときなど)
  • 生命保険金(受取人以外の人が保険料を負担していた保険金を取得したとき)
  • 定期金(掛け金を払っていた人以外の人が、年金などの定期金受給権を取得したとき)
  • 低額譲渡(著しく低い価額で財産を譲り受けたとき。ただし債務者が債務を弁済することが困難な場合を除く)
  • 債務免除益(債務の免除や肩代わりをしてもらったとき。ただし譲受人が債務を弁済することが困難は場合を除く)


贈与税がかからない場合

  • 法人からの贈与(法人からの贈与により取得した財産は、所得税として課税される。)
  • 生活費・教育費(夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるため取得した財産)
  • 公益事業用財産(宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの)
  • 奨学金(奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から取得した場合で、一定の要件に当てはまるもの)
  • 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金(地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人、またはその人を扶養する人が心身障害者扶養制度に基づいて支給される給付金を受ける権利を取得した場合)
  • 公職選挙費用(公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が、選挙運動のために金品を取得した場合)
  • 香典、見舞金など(個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物、または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの)
  • 相続開始年の贈与(相続(遺贈)により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与された財産。ただし、その財産は相続税の課税財産となる。)

贈与税の配偶者控除について

以下の条件を満たす場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで(合計2110万円まで)控除できる特例があります。

  • 夫婦(内縁関係は含まれない)の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われること。
  • 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産、または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。


*居住用不動産は、土地のみ、家屋のみの贈与でも特例の適用を受けることができる。また、土地や家屋の一部の贈与(持分の贈与)についても同様。
*土地のみを贈与する場合は、贈与した配偶者、あるいは贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有していることが条件となる。
*金額にかかわらず、一生に一度しか適用を受けることが出来ない。
*婚姻期間20年以上の配偶者がもう一方に居住用不動産を贈与または遺贈した場合、特別受益として扱わず、遺産分割から除外される。

贈与税の申告と納税について

贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日です。受贈者の住所地にある税務署が提出先となります。基本的に全額を一括納付しなければなりませんが、①税額が10万円を超えること、②一括納付が困難であること、③担保を提供すること(条件あり)に該当し、申告期限までに延納申請書を提出すれば、延納が認められることもあります。

(参考文献)

  • 竹内豊「行政書士のための遺言・相続実務家講座」税務経理協会 令和2年3月1日
  • 曽根恵子「いちばんわかりやすい相続・贈与の本'21~'22年版」成美堂出版 令和3年8月20日

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